March 04, 2020

2月28日から7月17日に延期 クラシックピアニスト佐藤由美ピアノリサイタル by ゆみのすけ後援会会長

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、クラスター化の原因となることを避けるため、2月28日(金)19時開演で計画していたクラシックピアニスト佐藤由美さんのピアノリサイタルを、7月17日(金)19時開演へと延期することにいたしました。すでにチケットをご購入いただきました皆様は、お持ちのチケットで音をお楽しみいただけます。同時に、お席に余裕もございますので、新しいチャンスにお越しいただければ幸いです。

以下は、佐藤由美・ゆみのすけ後援会会長として、2月28日の機会をご紹介した際の挨拶です。ご笑覧ください。

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《春の音霊に出会う時》

佐藤由美ピアノリサイタルへのお誘い

ゆみのすけ後援会 会長 鵜飼宏成

(名古屋市立大学経済学研究科 教授)

 皆さん、目を閉じてみてください。 ・・・そこにはどのような音がありますか?・・・笑う声、泣く声、叫ぶ声、呼び掛ける声、伝える声、他人の声、自分の声。・・・駆ける音、叩く音、規則正しい音、不思議な音。・・・煙の音、吹く音、焦げる音。・・・空の音・・・空(くう)・・・

 空(くう)、すなわち、無になることは難しいことではありません。無になるために身構える必要はありません。好きなこと、気になることを考え、やり続ければ次第に無になります。この状態が「夢中」です。夢中になるといつの間にか時が過ぎてしまうものです。気づいた時の不思議な感覚。集中し疲れているはずなのに、鋭気が満ち溢れ、心地よく、爽快感ある感覚です。

 佐藤由美ピアノリサイタルは、皆さんに夢中になるきっかけを創出する第3の場です。良質の音を追い続けるうちに、音が話しかけているように感じ、次第に物語を読んでいることに気づきます。物語は、観客の数だけあります。佐藤由美のピアノリサイタルは、音を介した佐藤由美と皆さんとの対話だからです。皆さん個々の経験に裏打ちされた想いが佐藤由美に発信され、音楽ホールは、固有の存在価値に満ち溢れた時空間へと変質します。音は、想いが重なり合い、紡ぎあい、音の霊になると私は考えています。

 来る228()、一宮市木曽川文化会館・尾西信金ホールにて佐藤由美ピアノリサイタルを開催いたします。平日の夜の開催になります。自分の「春の音霊」を見つけに来てください。心待ちにしております。

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September 18, 2019

地域活性学会国際交流部会セッション・パネルディスカッションを企画しました

国際交流部会では2016年より国際学会Uddevalla Symposium4年続けてSpecial Sessionを提案し、答えの出ていない「地域イノベーション・クラスターの生成及び持続メカニズム」に関した研究報告と国内外の研究者とのディスカッションの機会を設けています。2019年度は、統一論題『Unlocking the Potential of Regions Through Entrepreneurship and Innovation』の下、イタリアのラクイラで627()29()3日間にわたり20数か国から約200名の研究者が参加し、文化や経済状況の異なるバックグランドからのコメントが飛び交い、貴重な学びの機会を得ることが出来ました。

本パネルディスカッションの論題『Kinds of Regional Resources that Contribute Innovation and Creation of New Industries(イノベーションや新産業創出に貢献する特定の地域の資源とは何か)』は、国際交流部会が提案し実施された本年度の特別セッションのテーマです。国際交流部会主催の特別セッションは28日・29日の2日間、ロシア、イタリア、オランダ、日本の研究者やグループによる計8報告を集めました。

地域活性学会第11回研究大会国際交流部会セッション(9/14、長崎県大村市)にて、日本の研究者との意見交換を行うことを目的に、ラクイラで発表した日本人研究者4名が、それぞれ10分間で研究報告を行い、パネルディスカッションではUddevalla Symposiumで出された質問やコメントにも言及しながら、新産業を生み、持続可能な産業クラスターであり続けるポイントは何か、オープンクエスチョンの問題に切り込みました。要点は下記の通りです。

テーマ:

Kinds of Regional Resources that Contribute Innovation and Creation of New Industries

(イノベーションや新産業創出に貢献する特定の地域の資源とは何か)

パネルディスカッションの狙い

パネラーの発表は、「400年以上続く燕三条の産業クラスターの変遷のメカニズム(吉川報告)」「イタリア・プラトのテキスタイル産業集積の変遷のメカニズム(松本報告)」の第1群、「新産業創出の苗床となる市民活動/非営利セクターの役割とメカニズム(今瀬報告)」「新しい産業クラスター誕生に果たす市民起業家とインタミディアリーの役割とメカニズム(鵜飼報告)」の第2群の2つに大別できるだろう。 

1群は、存在する産業クラスターが持続し続ける要因を探り、第2群は、新産業クラスターが誕生する要因を探る。本セッションでは、これら2つの視点から、「イノベーションや新産業創出に貢献する特定の地域の資源とは何か」を考える。

パネルディスカッションの進行計画

9:00           国際交流部会の紹介&パネルディスカッションの目的説明(部会長)

9:10           パネラー報告(一人自己紹介を含め要点のみ報告:各々10分)

9:50           パネルディスカッション(30分)

 論点① 産業クラスターに影響を及ぼす地域の資源をどの様に捉えているか?(一人1分×4人&5分ディスカッション)

 論点② 産業クラスターのライフサイクルでみて、誕生期と転換期で効力を発揮する資源にどのような違いがあるか?(一人1分×4人&5分ディスカッション)

 論点③ 産業クラスターの持続可能性はマネジメント可能か?(一人1分×4人&5分ディスカッション)

10:20          会場とのその他テーマでのQ&A

10:30            終了

 

(個人的な振返り)

  • 論点① 影響を及ぼす要因 市場(マーケット)、資源(人・技術技能・文化・金)、ルールあるいはスタンダード、オープンイノベーションを実現する機関あるいは人、attitude(態度)
  • 論点② 産業クラスター誕生期と転換期で効力を発揮する資源の違い⇒誕生期にはAttitudeを変化させる活動の担い手が相対的に重要。なぜなら、その地域には資源が活用できる状態になっていない。つまり、外部性を期待できないから。誕生期と転換期では着眼する要因が異なる。
  • 論点③ 産業クラスターの持続可能性の要因は移転可能と考え、マネジメントできるという視点を重視。

(気づき)

  • 地域×イノベーション⇒新産業創出(既存技術×新技術×マーケット×イノベーション)
  • ノルウエーの産業クラスター政策:1軍←2軍←3軍と進化
  • 国際的なサプライチェーンの仕組みが変化している中での産業クラスターでの新しい地域の資源の捉え方に注意
  • Attitudeの変化が意識できる水準に至るまでの時間的要因を意識すべき。10年~30年の単位か?

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June 13, 2019

足跡:「第4次北区地域福祉活動計画の策定に寄せて」

 第4次北区地域福祉活動計画の策定を終え、ここに北区民の皆様に公開される日が来たこと、大変嬉しく思います。これは、北区の福祉活動を日々担われている皆様で構成されるワーキンググループが3グループに別れ、回数にして延べ35回、1年にわたって検討を重ねた成果であり、分かりやすく構成されています。提案されている内容は、日々の福祉活動の中から浮き彫りになってきた問題に端を発しているものばかりです。是非とも、お読みになられた方は、周りの方にこの内容をお話ください。どこのページでも構いません。そして、2度目には、別のページを確認しあってください。こうして、計画に魂が入り、生かし生かされていく地域福祉が実現していくのではないでしょうか。

 さて、この計画を手に取られた方にお伝えしたいことがあります。第4次の計画づくりは、それ以前とは大きく作成理念が異なっているという点です。具体的には、社協事業のための計画ではなく、地域福祉の担い手からのボトムアップによる北区の地域福祉活動計画であるという特長です。北区で発生する地域福祉の「見える問題」を最も把握しており、顕在化していない「探す問題」に光を当てることができ、さらには、現在の延長線上ではなく北区の将来の地域福祉を見据え、「敢えて新たな問題を設定」することのできる方々の経験と知恵の結晶です。他では、まだまだ社協事業のための計画づくりの情報源としてワーキンググループ等を位置づけているところもあると聞きます。私は、結果としての第4次地域福祉活動計画の体裁は同じでも、推進する「当事者意識」に明らかな違いが生じると確信しています。北区は難易度の高い道程を選んだのかもしれません。しかし、5年後にははっきりとした違いとなって、報恩感謝の精神、学びあい、助け合いの地域へと変化していることでしょう。

 しかし、計画に盛り込まれていることが一朝一夕に実現できると考えるのも早計です。ボトムアップ型のアプローチは、計画づくりに留まらず、実行の領域にも及びます。初めての経験が待ち受けているのです。だからこそ、第4次北区地域福祉活動計画期間の5年は、よりよい地域福祉の推進体制を見出す「移行期」であることを皆さんと共有したいと思います。試行錯誤が続くことが予想されます。上手くいかないこともあるでしょう。難しく考えず、「誰に相談しよう?」「初めてだけど、この問題の解決が得意な○○さんに連絡してみよう!」「いや、この問題は、区役所、社会福祉協議会と一緒になって解決策を考えよう!」「できる人、やりたい人、求めている人がつながるには?」と、皆さんも当事者の立場で自問自答してみてください。民と官が同行二人で解決策を模索するなかから本当の絆が誕生することを期待しながら。

 最後に、北区の第5次地域福祉活動計画が、もっと多くの北区民の皆さんの声で立案され、実行に移されることを祈念して、そして、この素晴らしい計画づくりのプロセスに関われたことに感謝して、本編への序文とさせていただきます。

愛知学院大学名城公園キャンパス地域連携センター所長

(現・名古屋市立大学大学院経済学研究科教授)

鵜飼宏成

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March 01, 2019

2019.03.01 クラシックピアニスト佐藤由美・ゆみのすけ後援会主催 ピアノリサイタルの案内を発信!

《ゆみのすけ》の新世界を楽しむチャンス!

ゆみのすけ後援会 会長 鵜飼宏成

お待たせしました!来る420()、一宮市木曽川文化会館・尾西信金ホール(開演14時)にて、ゆみのすけ後援会主催「クラシックピアニスト 佐藤由美 ピアノリサイタル」を開催します。意欲的で刺激的な演奏曲がリストアップされています。会場にお越しの方々の魂を揺さぶることでしょう。より進化した「《ゆみのすけ》ワールド」をお楽しみいただけると確信しています。そして、是非ともご友人をお誘いください。由美さんの奏でる音を知らない「新人」にもこの機会を楽しんでいただきたいと思います。

早いもので、同ホールで行われたピアノリサイタルから1年が過ぎました。昨年は、そのリサイタルを皮切りに、東北での演奏会、米国での演奏会へと続きました。あたかも聖火リレーのごとくに、一宮で誕生した音霊が由美さんとともに各地で想いを蓄え、米国にて発散されたのです。私たちは由美さんという存在とともに各地を巡りつつ成長できたのです。

さて、私は、今年のピアノリサイタルを由美さんによる「新結合」であると考えています。ここでいう新結合とは、幾つかの要素を新しい視点から再び結びつけ、結果的に今までとは次元の異なる質の状態を生み出すことを意味します。420日は、音を奏でる由美さん自身に注目してください。凛とした佇まい、衰えを知らない力強くも滑らかな腕と指の動き。これらは、心身の鍛錬を新たに加えたことで叶えられました。そして、変化とともに過去に置いて来たものを回生させるだけでなく、未踏の領域へと音霊を進めています。目には映らないかもしれません。しかし、数年前の突然の事故で負った怪我の後遺症を乗り越えて新しい由美さんとして登場します。総演奏時間1時間30分(正味)はあっという間に過ぎることでしょう。

最後に、ゆみのすけ後援会からのお知らせです。昨年の総会を契機に、由美さんのファンクラブ的色彩を濃くした後援会として再スタートしました。今までの有料会員という制度を廃し、由美さんを応援するすべての皆さんがつながれるように無料の登録会員へと変更しました。登録会員の皆様には、電子メールを使った由美さんの想い溢れるニューズレター(月に複数回、メールアドレス登録者限定)、演奏会の郵便等の方法で情報をお届けいたします。郵送だけでは知りえない情報が電子メール・ニューズレターでは発信されています。この機会に是非、電子メールアドレスをご登録ください。

皆様の益々のご発展を祈念いたします。そして、420()に皆様の笑顔に出会うことを心待ちにております。

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October 24, 2016

地域活性学会ニューズレター・リレーメッセージに投稿

「地域活性学会ニュースレター」のNo.175(2016年10月24日)号にリレーメッセージとして下記の内容を投稿しました。足跡として記します。

市民活動支援制度(通称:1%支援制度)~市民税1%の活用を市民に委ねる地域~
(鵜飼宏成 愛知学院大学 経営学部教授・地域連携センター所長)

1.市民活動支援制度とは
市民活動支援制度とは、市民税の1%相当を市民自らの投票により市民活動への分配を決める制度である(注1)。議会が税金の使い道を決めることが一般的とされている中、「市民が直接投票によって社会的な課題を解決する市民活動を資金面で応援する動き」が始まっていることに注目したい。
(注1)条例等で定められた年齢以上の市民は支援金を持ち、市民活動団体への支援金の算出の基礎となる。この支援金の額は個人市民税額の1%相当額を対象年齢の市民数で割り戻して算出したもの。

2.先行する自治体
市川市が平成17年(2005年)度にわが国で最初に同支援制度を導入して以後、2番手グループとして平成21年(2009年)度に一宮市、恵庭市、奥州市、大分市が導入し、平成28年(2016)度の現在は6市で運用されている(大分市、佐賀市、和泉市、生駒市、一宮市、八千代市)。全国1,741の自治体(市は791)から比較すると僅かに留まっているが、税金の使い道を市民の委ねるという大英断を下した先行自治体には敬意を表したい。市民を信頼して、「自分の地元をどうしていくのか、誰がどのように関わっていくのかを問い直す」機会を提供しているからだ。

3.支援体制の充実が地域力を確実に高める
さて、筆者は一宮市で初回から審査会委員を務め、毎年度70~80件の市民活動団体を審査している(注2)。審査会の役割は、提案された事業を「①公金負担の妥当性、②事業内容の公益性、③事業内容の妥当性、④費用の妥当性」の4視点から確認し、18歳以上の市民が選択する際に参考としやすい情報とすることだ。加えて、事業終了後に適切に遂行されたか、各団体が実施事業を振り返り課題を抽出し、克服方法を検討しているかどうかを審査する。約8年にわたる推移を見守ってきて、市民活動支援センターの相談機能の充実もあり、市民活動団体の課題解決力や事業の提案力が高まってきたことを実感している。
(注2)http://www.city.ichinomiya.aichi.jp/kurashi/chiiki/1010093/1015840.html

4.市民が地域づくり活動にかかわるきっかけとするために
しかし課題もある。制度の本質から言えば、市民がまちづくりに参加する貴重な機会になるはずだ。残念なことに、お金で支援(投票)したらその団体の活動に参加していくのではないかと期待していたが、大きな動きになっていない。私見であるが、市民側の意識醸成だけではなく、団体側の受け入れ態勢を見直すきっかけと考えるべきだ。また、地域の課題は、高校年代の学び方として期待されているアクティブラーディングの題材だ。市民活動の充実と層の厚さが次世代の育成につながる時代となっている。

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January 10, 2016

東海三県地域おこし協力隊フォローアップ研修とコミュニティビジネス発展段階モデル

2016年1月22日、三重県熊野市にて開催される東海三県地域おこし協力隊フォローアップ研修の2日目に分科会をリードすることになった。リソースパーソンに、三重県多気町に家族で移住し活躍されている、西井 勢津子氏(株式会社地域資源バンクNIU代表取締役)をお招きし、「地域に[ビジネスの生態系]をつくろう~起業の種のつなぎ方~」と題しての3時間だ。分科会の呼び掛け文に、次のような一節を書かせていただいた。<アイデアは「想い醸成期」「共同学習期」「社会実験期」を辿ってカタチになる。地域での自活の鍵をビジネス生態系の視点から考える。>西井勢津子さんという先人に学び、話し合い、自分の身に置き換えて考え内省する時間とします。

Photo西井さんと私は、特定非営利活動法人起業支援ネットで、関戸美恵子さん(故人)より学びと刺激を得た。その起業支援ネットが基本に置いているのが、コミュニティーへの影響度(縦軸)と個人と事業の成長(横軸)の間でコミュニティビジネスの発展段階を考えるモデルだ(図参照)。フォローアップ研修のお話をいただき、地域おこし協力隊のロールモデルの一人になるだろうと考えたのが西井さん。フェースブックで活躍を知るにとどまったこの数年間だったが、乗り越える苦労はなくなっていないだろうが、西井さんは確実に周りの方々との協働で進化している様子であった。お願いしたところ、快くリソースパーソンとしての参加を引き受けていただけた。その西井さん、自身の成長を計る上で基本に置き、これかがあるから時間がかかっても焦らないとするのが、件の「コミュニティビジネス発展段階モデル」だという。私自身も問題提起者として、この発展段階モデルで受講する方々にフックをかけようと考えていたところであった。

関戸さんから得た学びは、日々の生活に根付いている。そして、自信となっている。68歳で逝ってしまった関戸さん。「ここまで全力で走ってやってきたんだから、後は頼んだよ!」との声がいまにも聞こえてきそうだ。大義を持って全力で駆け抜ける。その背中を追い続けたい。

当日、冒頭30分を私からの問題提起する構成を考えています。頭の整理として集めた実践事例から次のような気づきを得た。一部の概要部分のみ備忘として記す。

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シナリオ案
Ⅰ:ビジョニング(30分)・・・鵜飼
 1自分の成長を、コミュニティビジネス発展段階で考える(横軸)
 2将来の生業を、地域におけるビジネス生態系で考える(縦軸/事業展開期に相当)
 3西井勢津子さんの紹介

Ⅱ:先行者に学ぶ現実(60分)・・・西井さん

Ⅲ:参加者とのディスカッション(質疑応答含む)(45分)・・・鵜飼リード

Ⅳ:振り返り&示唆(45分)・・・参加者全員
 1問題提起者による総括
 2西井勢津子さん感想
 3ビジネスモデル・キャンバスを用いた自己発見(参加者個人ワーク)
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Ⅰ ビジョニング
1.問題提起
 思い立ったが吉日という諺がある。何かをしようという気持ちになったら、その日が吉日と思ってすぐに始めるのがよい。との意だ。では、起業ではどうか?特に、フランチャイジーとして開業するのではなく、自らの力で始める場合は?すぐに始めることができれば問題はないが、果たして・・・。
NPO法人起業支援ネットでは、成功したコミュニティビジネス(地域の問題や社会の問題をビジネスの手法を使って解決する事業)を分析した。そこから、ほとんどの起業家はいきなり事業を始めるのではなく、本格的に始める(上記の事業展開期)前に、3つの段階を経ていることが分かった。想い醸成期、共同学習期、社会実験期であり、この間に、起業家は、価値ある(社会に受け入れられる)事業にするためのトライ&エラーを繰り返しビジネスの質を高めていた。
もう一つ新規事業の立ち上げを左右する大きな要因がある。それは、ビジネス生態系(エコシステム)ともいうべき、起業を応援する環境だ。この環境は、新しいことを応援したり、成功している人がいるなどの風土であり、それを支える人と人の関係だ。
田舎(中山間地域等)では、都市とは違い、自然界のエコシステムは多様に存在していたとしても、社会や仕事を成り立たせる人間界のエコシステムは弱体化しているか、既に消失してしまっている可能性が高い。だから、新しいことを始めることは簡単ではなく、都市で起業するのとは異なる苦労が伴ってくる。ビジネス生態系(エコシステム)を応援しあう関係と考え、小さくとも仕事面で補完関係を結ぶことのできるビジネスを創造することが必須で、その際、ビジョンあるいは未来をデザインすることが地域の人の間での共通言語となる場合が多い。
中山間地域でビジネスの手法で「まちづくり」「地域再生」を実践し、うまくいっている事例を紹介する中から、ビジネス生態系(エコシステム)とコミュニティビジネス発展段階ごとの特徴を確認したい。
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2.事業展開期にある一般社団法人ノオト(兵庫県)
 ノオトの活動を一文で表すと「歴史地区の創造という地域再生戦略」
 人口減少、少子高齢化が進行する歴史地区(城下町、宿場町、集落等)を、地域の空き家と歴史文化を活かして再生する。
 各地の成功例を振り返ると、次のような構造が見えてきたという
●空家を活用することで、新たな事業の担い手としてUIターン者を呼び込む。(業種を決めて情報発信、それに向けて応募がある。その中から選定。)
●小さくとも産業クラスターが形成されてきた(相互に補完しあう関係が生じてきた)・・・空家の修復産業、観光産業、食文化産業、クラフト産業・・・篠山、集落丸山等のノオトが手掛けてきた地域は「観光」から入って移住が増える地域再生を行ってきたが、移住という切り口で入って結果的に観光に結びついているところもある。これは、地域の特性に応じて異なってくる。
●何もしなければ限界集落となり消滅したかもしれない地域が再生できた要因は、インクが関わるビークルの役割が大きい。ここでいうビークルとは、変化を誘発するような役割を果たすプレイヤー。ノオト代表の金野氏によれば、その「まちづくりビークルの要件」は次の5つで、まちづくりビークルは、プランニングの段階で「地域(コミュニティ)の未来を描く」。
 ① 地域(=コミュニティ)の有志たちが、
 ② 乗り合わせるビークル(株式会社、NPO等)を作って、
 ③ 地域に認知されながら、
 ④ 自分たちの責任で事業を展開する。
 ⑤ そのビークルには外部者が乗っているほうがよい。
《考察》
イ)ノオトは歴史地区の創造としての地域再生戦略の(大手資本とは異なる)ローカル主体のビジネスモデルを構築した。その特徴は、勝利の方程式にあるように、地域のリソースとプレイヤーに焦点を当てた〔空間+食文化+生活文化〕一体的開発戦略。
ロ)自然発生的にはこの一体的開発とはならなかったという事実に注目すべきだ。よって、より重要なのは、「まちづくりビークル」の存在とその形成に至るプロセスだ。ノオトはビークルの提案者であり、外部者としての搭乗者である。
ハ)事業展開期にあるノオトが創造したのは中山間地域のビジネス生態系(エコシステム)に他ならない。ノオト金野氏による図は、地域おこし協力隊を終えた方々が地域で「はたらく」あり方を示している。皆さんは(地域おこし協力隊の現役の方々は)、ビークルか?プレイヤーか?そして、自分たちのリソース(発見した価値ある資源)は何か?孤立していては活かされないし、地域を活かせない。つながりの中で、補完関係できる「皆さんのしごと」とは何か?自分たちの地域の現状は?そして、自分ができること、やりたいこと、求められていることは?
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3.共同学習期にある一般社団法人インク(岐阜県)
 世界文化遺産・美濃和紙の里である岐阜県美濃市蕨地区を拠点に活動するインク。このインクの活動を一文で表すと「農山村の人材育成と地域に貢献する里山インキュベーター」。
《考察》
イ)ノオトの用語を借りれば、インクは「まちづくりビークル」だ。その一方で、インクは社会的事業を担うコミュニティビジネネスの起業であることも事実だ。
ロ)着想から数えれば2年を超えるインクは、想い醸成期での構想が共同学習期の2年目で通用しないことがわかり、通用しない要因が地元からの信頼の不足であることが判明し、信頼関係構築のプロジェクトを先行して実施するアクションプランを考えた(あくまでもこれは事後的に判断できることであるが・・・)。
ハ)インク顧問の嵯峨教授が示す新事業構想とアプローチ方法は本当に通用するのか?3年目も資金を必要としないプログラムでの共同学習が続くだろう。
ニ)インクが共同学習期で辿り着いた考え「多様な起業があって良い」は、現実に即した結論だ。起業リスクの大小はあるものの、事業化に向けてはいずれの起業でも社会実験を避けてはいけない。
ホ)社会実験期とは具体的に何か?地域資源リソースとして何を見出したのか?そこに至るまでにどのようなマインドの変化があったか?そして、必要となるスキルは?世帯としての収支は?
ヘ)名古屋から多気町に移住し起業した「西井勢津子さん」より、<社会実験期にある㈱地域資源バンクNIU>の実際について伺おう。

Ⅱ 先行者に学ぶ現実(60分)~社会実験期にある㈱地域資源バンクNIU
Ⅲ 参加者とのディスカッション(質疑応答含む)(45分~60分)
Ⅳ 振り返り&示唆(45分~30分)
 1問題提起者による総括
 2ビジネスモデル・キャンバスを用いた自己発見(参加者個人ワーク)

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November 06, 2015

あいちコミュニティ財団『住友理工あったか未来基金』の審査員としてお招きいただきました

名誉なことに標記審査員に選ばれただけでなく、審査委員長の大役を仰せつかりました。
以下は、私案としての総評です。

住友理工あったか未来基金 総評

 『住友理工あったか未来基金』(以下、「あったか未来基金」)は、深刻化する子どもの問題解決に取り組んでいる市民公益活動団体(NPO)を対象に、「新たな工夫で困難な状況に置かれた子どもたちの未来を創造する活動をサポート」するしくみだ。この基金の成り立ちにも注目すべきであろう。社会貢献意識の高い住友理工社員による資金提供に会社側も応えて設立された一般社団法人があり、ここが基金の母体となっている。基金名には「すべての子どもがあたたかな未来を描けるように」との意味が込められているが、出自から心のこもったあったかいお金なのだ。

 この「あったか未来基金」の運用にあたるのが公益財団法人あいちコミュニティ財団だ。同財団には活動の成長段階にあわせた「ホップ→ステップ→ジャンプ」のサポートがあり、「あったか未来基金」は「新たな工夫を社会実験する」ステップ段階の役割を担う。すなわち、この段階は、自分たちが考案したことが社会性を持ち、そして利用者の要望に応えることができるか否かを検証する大事な局面であり、今回で言えば、子どもたちの未来を創造する工夫の検証である。
                           ◆
 こうした「あったか未来基金」の助成とステップ段階への挑戦にふさわしい団体を、5名の委員によって選考した。一次審査を通過した4つの団体の中から、「社会課題の深刻さや緊急性」「ビジョン・社会課題・申請事業の整合性」「申請事業の具体性や実現可能性」「団体・事業・社会に与えるインパクト」「スケジュール・実施体制・予算の適切性」という基準を踏まえ、書類による事前審査、当日のプレゼンテーションと質疑応答の2段階で選考し、以下の3団体に決定した。
                           ◆
 いずれの団体も、子どもたちを取り巻く社会課題の現実を見据え、本気で課題克服に取り組む大人達であった。それらは、「しっかりと地元行政の取り組みの限界を把握し、子どもの学びに向け、自身が他の活動で育んだ人財を効果的に生かす工夫」、「ダブルリミティッドの根源となる乳幼児期の子育て支援の工夫」そして「音楽を通じた子どもが社会参加する工夫」等、いずれも制度の谷間で解決が一様ではない課題を捉えたものばかりだ。
                           ◆
 その一方で、工夫の中には、いささか理に適わないもの、蛇足のあるものも見受けられた。そこで、助成が団体の目的達成に効果的なものになるよう、選考委員会から改善点を要望として出させていただいた。選考を通過した団体には耳の痛いことであったかもしれない。選考委員会は行政、産業、非営利、教育の各セクターから選出されており、コトを推進する専門家でもある。委員会の声は社会の声でもあり、耳を傾けていただけることを期待する。あわせて、各団体が社会実験の結果を検証し、進化した工夫をもってジャンプの段階へと進むことを祈念し、総評を締めくくりたい。

文責:
公益財団法人あいちコミュニティ財団「住友理工あったか未来基金」
2015年度選考委員会 選考委員長
鵜飼宏成(愛知学院大学 地域連携センター所長・経営学部教授)

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看護部長クラスの方々から頂いた講義評価結果を振り返る(2015年度)

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「公益社団法人 愛知県看護協会」のサードレベル研修で、幸いにも講師を務めさせていただいている。私の担当は、毎年6月の起業論だ。看護業界で起業?と思われがちであるが、看護部長、総師長クラスが参加するサードレベル研修では、医療業界を取り巻く各種の環境変化を踏まえた医療機関の「新規事業」や看護師等の「独立創業」が切実なものとなっているのだ。

愛知学院大学にも歯科領域の総合病院があり、また、看護師でもある社会人学生が起業したこともあり、私にとっても大変身近な領域のテーマです。

私の担当する起業論の対になるのが、起業された看護関係者による起業家講義。そこで、私は、コミュニティビジネスの起業事例(看護師の方の独立創業を中心に)、経営感覚の体験(意思決定とお金の巡りの関係を体感する)、新アイデア創出のための思考プロセスと思考法(未来デザイン考程を中心に)を3時間の中で実践するカリキュラムを組んでいる。本年は、協会のほうより要請があったNPO論につながる話題提供も加えて構成した。また、昨年度の反省を踏まえ、共同学習の要素を取り入れた。そして、比重は、事前の予習や準備ではなく、当日の3時間とその後の自宅学習に置いた。

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果たして、結果は?2つの映像データをご確認いただくと、お陰様で総じて高い評価をいただけた。とりわけ「講義内容の理解」、「自身の組織に対する新しい考え方、発想が得られる」、「看護管理実践に役立つ」で昨年度より評価が高まり、その結果であろうか「自分の努力、受講態度、学修結果等を総合した自己評価も」大きく上昇した。ホッと胸をなでおろした。

以下は、自由記述の回答です。「ビジネスゲームの学習は経営について考えることにつながりました。」「演習が興味深く、発想の転換につながった」「とても楽しい、参考になる講義でした。時間がもっとあるといいなと思いました。」「系統的にまとめられた分かりやすい講義でした」「もっと時間をかけて学んでみたい」「体験学習だったので分かりやすく、理解できた(ビジネスゲーム、未来デザイン等)」「一日かけてワークシートの作業をしたいと思った」「新しい発想の仕方が分かって大変良かったです」「最後のワークは自分の発想の無さに辛かった」

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July 18, 2015

『最も共感する言葉2015』大賞が出揃いました!

 愛知中小企業家同友会より7名の経営者の方にお越しいただき、本年度も経営者としての視座を学ばせていただきました。この場を借りて、学生36名ともども衷心より御礼申し上げます。

 この授業はある意味変則です。一人の経営者の方に2週続けてお越しいただき、1週目はミニ講義(経営者の方々が大切にしていることを中心)、2週目は対話型ワークショップ(1週目のミニ講義の感想を全員が書き、質問とともに経営者の方に事前に送ってあります)。加えて、担当教員とボランティア教員(意欲的に学びたい先生)で運営を支えます。また、愛知学院大学経営学部の起業家育成履修モデルの導入科目でもあり、起業家として事業プランや戦略立案以前に、人としていかにあるべきか、未来に向かうための人生理念と企業理念の意義等を学生が直接経営者との対話を通じ気づいていくことを狙いとしています。

 20150716_135526_2_2さて、本年度も講義が終了し、「最も共感する言葉大賞」を選出しました。まず、27名(最終講義参加者)の学生が、心に響いた言葉やフレーズを一人2個抽出し、8つのグループに分かれ協議を重ね、グループ毎に2つの皆に推奨したい言葉等を提案します。それをまとめたのが、以下の言葉です。54個分の16個です。それぞれ、学生が推薦する理由を述べ合った結果として、絞り込まれた16の言葉です。優劣をつけることは適しませんし、ここに無い38個の言葉も学生個々にとっては、大きな意味を持ったものです。このような前提を置きつつ、本年の最も共感する言葉大賞を発表します。

 人は人にのみ磨かれる。

 現状維持は衰退へ。

 自社だけが良くなってはいけない。業界全体で良くならなくてはいけない。

 他に負けない強みを作る。欲しいじゃなく作る。

 本質思考

 人とコミュニケーションをとるとき大切なことは、相手を褒めることから。

 手を抜けば会社は一瞬で潰れてしまう。

 素直と誠実さが信頼を得る。

 言力

 企業は関わる全ての人が豊かで幸せに成る為にある。

 会社を辞めさせることは人の人生を断ち切ること。

 他力本願では「経営」は成り立たない。

 同じものは同じ環境で磨くのが一番良い。

 思っていることが伝わっているのは全体の2割。

 自問自答(考えるきっかけを作る、成長するために必要、頭の中の整理)。

 先読みを意識して行動する(行動することの大切さ、指示待ち人間はダメ、これからの時代に求められる人材)。

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December 24, 2014

第6回バーチャルカンパニー大起業市場 開催される

2014年12月20日(土)、バーチャルカンパニー・プログラムの本年の締めくくりである、大起業市場を開催しました。早いもので第6回を数えます。この大起業市場は、京都大学で毎年11月24日前後に開催されるトレードフェアで審査員からいただいた評価、他大学からの刺激を踏まえ、1月間で事業計画や商品を改善し、愛知学院大学経営学部が実業界から招聘した指南役に発表、個別指南を受けるというイベントです。気づきを次につなげ、継続的な事業展開を意識させるために創設しました。(注:大起業市場の方法論は、特定非営利活動法人起業支援ネットの考案です)

本年は、16のチームが参加してくれました(愛知学院大学13チーム、中部大学3チーム)。→参加チームの事業概要「2014VCteam_profile.pdf」をダウンロード

Valuebymentors指南役は、事前情報による評価と1チーム20分のやり取りを踏まえ、価値を判断し志を金額に換算し投志します。投志券の裏には、応援メッセージを書いておきます。一般参加者については、指南役と参加チームの間で取り交わされた議論の内容を聞いて、志を金額に換算し投志します。やはり応援メッセージを記します。毎年、このメッセージがチームのその後の進化につながります。

表(写真)が投志の結果です。今年は、特に事業を組み立てる過程の試行錯誤に比重を置いた指南をお願いしました。分かりやすい事業プラン、きれいな商品ではなく、本気でどれだけ企業や団体と関わり、困難に直面してもそれを克服して現在に至っているのか。これを指南の中心においてもらいました。もちろん、新規性、独創性は大切です。より実現性に近づいたそれらであって欲しいのです。表からだけでは分かりませんが、確実にアイデアを超えようと努力し、企業と共に商品(製品・サービス)をしっかりと考えているチームに指南役の評価が集まっています。逆に、一般参加の学生(経営学部の1年生で、将来のバーチャルカンパニーの担い手候補)は、見た目の分かりやすさに影響された投志になっているようです。しかし、これも大切な要素。指南役からの高い評価と一般参加者からの評価に違いが大きい現実を直視しなければならないですね。きっと、各チームとも認識したはずです。

本年度のチームの事業計画、商品を見て、すこし未来への挑戦が弱いかな?と感じています。地域ブランド確立に貢献する食品開発なら仕組みまで、機能するビジネスモデルまでしっかり考える。商品開発だけでは、部分最適にとどまってしまう。また、事業計画でも、ビジネスモデルでも、商品(製品・サービス)個々でも、もっともっと挑戦してほしい。これは支援者である私たち教員の支援の範囲と広がり方にも責任はあろう。見つめなおして生きたい。

さて、各種新聞で大学生による商品開発、起業に向けた特集記事が組まれる頻度が高まってきました。特にこの1年の取り上げられ方は、大学への期待の変化を物語っているのでしょう。本学は、愛知県の起業家風土の形成と起業家能力をもった学生群の創出を目指し、1大学を超えて連携する意図で6年間続けてまいりました。まだまだ呼びかけ方が弱く、課題が多いのも事実ですが、大学数を増やし地域ぐるみでの支援システム形成に向け努力してまいります。

その一方、愛知学院大学経営学部としては、私案ではありますが、キャンパス・インキュベーション確立に向け、新しい組織づくりを計画したいと思います。数年来の願いですが、起業家の協力を得られるまでになってきました。大学人ができることは一部です。教えていただきながら、私も成長していきたい。こんな気持ちです。本年を締めくくる投稿になると思います。良いお年を。

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