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December 11, 2011

起業家教育の要件とは

 2011年12月10日(土)、平成23年度経済産業省起業家人材育成事業・大学・大学院起業家教育推進ネットワーク「全国フォーラム」(13時30~:TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター)にのパネルディスカッションに参加し、「起業家教育の要件」について勉強する機会を得ました。私が理解できた範囲で、振り返ってみました。

Ⅰ起業家教育の現場に立って
(1)起業家からの意見
 【石黒不二代氏(ネットイヤーグループ㈱代表取締役社長兼CEO)】
○ 起業のプロセスを講義した経験あり。起業をしたいという学生は少なかったという印象。

○ 石黒氏自身は「起業は職業、つまり、エンジニアと一緒」と考えている。

 【田中 仁氏(㈱ジェイアイエヌ代表取締役社長)】
○ 起業のプロセスを講義した経験あり。起業の選択肢がないように伺えた。

○ これは、身近に起業家がいないからではないか?起業家との出会いを増やすことが大切であると考える。

(2)大学教員等からの意見
 【前田 昇氏(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)】
○ モデレーターの各務茂氏(東京大学教授 兼 産学連携本部事業化推進部長)より、日本における起業家教育のパイオニアで、起業家教育の進化を論じる適任者との紹介あり。

○ およそ13年前は、米国では700を超える大学で起業家教育が行われていたのに対し、日本では数大学に留まっていた。また、その段階での日本の起業家教育は、特定領域の教育(テーマ型の講義等)が単発で行われる状態であった。この間、日本でも大きく変化し、現在の起業家教育のメソッドは「ビジネスプランの作成(教育効果大との意見)」、「ベンチャーを起こし、上場した起業家等の生の声を聴く」、「ケーススタディ」の3種類が主流になっている。

○ また、教育手法の変化だけでなく、学生の姿勢も「学ぶ」から「リアルな起業へ」と変化しているように見受けられる。

Ⅱビジネスプラン・コンテストの意味
○ 音楽コンクール、よしもとのM-1、高校野球の甲子園等と同じで、そこを目指し競争する環境を生み出すことで、起業家教育にプラスの効果をもたらすものではないか。(各務)

○ 今日、ビジネスプラン・コンテスト(試行)を見ていて、一言、面白いと感じた。(田中)

○ 米国には各地で多く開催されている。本格的なものは、ベンチャー・キャピタルが来て、ビジネスプラン発表者は、全員が起業意欲を持って挑んでいる。ベンチャー・キャピタル1社から投資の声がかかれば成功。順位ということではない。その意味で、ビジネスプランは、具体的に、より詳細に書かれていなければならない。(石黒)

○ 最終的に事業が成功するために、いつ、いくら必要になるかを考え、宣言する(fund requirement)。これがベンチャーのビジネスプランである。手元の資金の範囲内で起業するのは身の丈起業。(石黒)

○ 「起業を前提としたビジネスプラン発表会」と「起業家教育のビジネスプラン・コンテスト」とは同義ではなく、目的の違うものと位置付けてはどうだろう。(各務、前田)

○ 起業家教育の出口として、ビジネスプランがあり、そしてビジネスプラン・コンテストがある。そこ過程で、外部人材に触れ、刺激を受けることも大切であり、ビジネスプラン・コンテストはそこまでを含むものと考えるべきだ。(【田村真理子氏】日本ベンチャー学会事務局長)

○ 東京大学では、ビジネスプランを作成する過程を重視し、ベンチャーキャピタリスト、弁護士、会計士、コンサルタント等に「メンター」をお願いしている。(各務)

○ ビジネスプラン・コンテストに挑む経験を通じ、「折れない心」を涵養できることが鍵になりそうだ。(田中)

○ 東京大学では、過去7年間に125名の学生・大学院生が、ビジネスプラン・コンテストを盛り込んだ起業家教育のプログラムに参加し、その後20名が起業した。在学中もしくは卒業と同時の起業ではないが、起業家教育の意味は「ビジネスプランをつくって、(事業化に向けた)頭の体操」を学生時代に行うことで、将来の起業機会の準備であることが強調されるべきではないか。(各務)

○ フィンランドでは、ナショナル・イノベーションを目指し、「答えのない問題を解く」学校教育へと変化させた。ビジネスプランの作成は、答えのない問題を解くことと同じである。(前田)

○ アントレプレナー(Entrepreneur)は、やはり「企」業家と考えるべきだ。(各務)

Ⅲケース・ライティング
○ 起業家に焦点を当てた「ケース・ライティング」が必要ではないか。何をケースの焦点とするか。(各務)

○ ケース・スタディの意味は、答えがない(答えが一つでない)ビジネスで、どのように考え行動するかの思考力を高めることにある。そのためには、あらゆる要素がケースに入っていることが肝要となり、必ずしも起業家に焦点を当てたケースである必要はないのではないか。(石黒)

○ 自分の事業を例えに挙げていえば、「メガネ」ビジネスの発展を考える際に、アイデアを考えるきっかけになるケース(例えば、ユニクロ)は重要だ。(田中)

○ 学生にロールモデルを伝播させる意味で、起業家ケースは必要ではないか。(各務)

○ ケースは、成功例だけではなく、失敗例も必要だ。失敗ケースの方が、参考になる。(石黒、田中)

○ 日本発のケースが不足しているとの声が届く。これからケースの開発が起業家教育の充実に向けより重要性を増すだろう。(各務)

Ⅳ教員の要件
○ 米国の例を挙げれば、起業家がゲストスピーカーとして頻繁に来校し、学生たちは生の声を聴く機会が豊富だ。起業家教育に関わる大学教員は、バックグランドが何であれ、ビジネスがどう動くかを良く知っている。(石黒)

○ スタンフォード大学で学び、シリコンバレーでの仕事経験に基づいていえば、かつては、起業は「アート(運とか、すごいとか)」であったのに対し、1990年代以降は「サイエンス」になった。よって、大学教員は、ビジネス、起業のやり方をサイエンスとして教える時代になったと理解している。(石黒)

○ 起業家教育を担う大学の先生は、「チャレンジ精神に火をつける」ことができる先生であってほしい。(田中)

○ 起業家教育は、「起業家が生み出す芸術的な要素」と「起業の定石を教えるアカデミックな要素」の両側面を兼ね備えているべきだ。(前田)

Ⅴ起業に関わるリスクについて
○ 自ら立案し、高い評価を受けたビジネスプランとしても、大学生のみで起業するということは、当然のことながら高いリスクが伴う。ゆえに、米国では、ベンチャー・キャピタルがマネジメントを担う人財を補強する。そもそも、起業は「自分だけでするものではない」。ビジネスプランを採用し実現することが第一義であり、スタッフは適任者を採用する。ビジネスプランを書いた本人は、自分の能力を見極め規定し、身の丈を知り、補完する人を集める。(石黒)

○ 企業につとめることにも高いリスクがあると考える。起業は、リスクを受け入れるが、(鵜飼加筆:何もせず受け入れるのではなく、分析し、低減する努力をしたうえで自分の責任でリスクを引き受けるのであり、)結局、起業のリスクは低いと考える。(田中)

Ⅵ振り返り
○ ロールモデルを学生に抱かせる重要性を再確認。ベンチャービジネス論の中で、オリジナルケースを提供するようにしたい。最初のオリジナルケースは、私が経験した起業から撤退までのケース・ライティングから出発したい。

○ 愛知学院大学で行っている事業計画論の講義を、現在行っている「商品及び事業アイデアのテストマーケティング、事業計画書作成」を超えて、推定する力を強化する要素を盛り込み、Fund requirementまで具体的に提案できるようにしよう。

○ トレードフェアやビジネスプラン・コンテストに向け、私自身が、指導者、コーチ、メンター及びプロデューサーを兼務している。支援「陣」という考え方で、スタッフを強化することも大切だ。ただし、予算もないことから、協力依頼の旅から始めよう。

(留意点)上記は、一般参加者の目線で書かれています。パネルディスカッションの参加者の意図に反し、異なる解釈となっている可能性も十分あることを前提にお読みください。

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