35 posts categorized "起業家教育"

July 18, 2015

『最も共感する言葉2015』大賞が出揃いました!

 愛知中小企業家同友会より7名の経営者の方にお越しいただき、本年度も経営者としての視座を学ばせていただきました。この場を借りて、学生36名ともども衷心より御礼申し上げます。

 この授業はある意味変則です。一人の経営者の方に2週続けてお越しいただき、1週目はミニ講義(経営者の方々が大切にしていることを中心)、2週目は対話型ワークショップ(1週目のミニ講義の感想を全員が書き、質問とともに経営者の方に事前に送ってあります)。加えて、担当教員とボランティア教員(意欲的に学びたい先生)で運営を支えます。また、愛知学院大学経営学部の起業家育成履修モデルの導入科目でもあり、起業家として事業プランや戦略立案以前に、人としていかにあるべきか、未来に向かうための人生理念と企業理念の意義等を学生が直接経営者との対話を通じ気づいていくことを狙いとしています。

 20150716_135526_2_2さて、本年度も講義が終了し、「最も共感する言葉大賞」を選出しました。まず、27名(最終講義参加者)の学生が、心に響いた言葉やフレーズを一人2個抽出し、8つのグループに分かれ協議を重ね、グループ毎に2つの皆に推奨したい言葉等を提案します。それをまとめたのが、以下の言葉です。54個分の16個です。それぞれ、学生が推薦する理由を述べ合った結果として、絞り込まれた16の言葉です。優劣をつけることは適しませんし、ここに無い38個の言葉も学生個々にとっては、大きな意味を持ったものです。このような前提を置きつつ、本年の最も共感する言葉大賞を発表します。

 人は人にのみ磨かれる。

 現状維持は衰退へ。

 自社だけが良くなってはいけない。業界全体で良くならなくてはいけない。

 他に負けない強みを作る。欲しいじゃなく作る。

 本質思考

 人とコミュニケーションをとるとき大切なことは、相手を褒めることから。

 手を抜けば会社は一瞬で潰れてしまう。

 素直と誠実さが信頼を得る。

 言力

 企業は関わる全ての人が豊かで幸せに成る為にある。

 会社を辞めさせることは人の人生を断ち切ること。

 他力本願では「経営」は成り立たない。

 同じものは同じ環境で磨くのが一番良い。

 思っていることが伝わっているのは全体の2割。

 自問自答(考えるきっかけを作る、成長するために必要、頭の中の整理)。

 先読みを意識して行動する(行動することの大切さ、指示待ち人間はダメ、これからの時代に求められる人材)。

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December 24, 2014

第6回バーチャルカンパニー大起業市場 開催される

2014年12月20日(土)、バーチャルカンパニー・プログラムの本年の締めくくりである、大起業市場を開催しました。早いもので第6回を数えます。この大起業市場は、京都大学で毎年11月24日前後に開催されるトレードフェアで審査員からいただいた評価、他大学からの刺激を踏まえ、1月間で事業計画や商品を改善し、愛知学院大学経営学部が実業界から招聘した指南役に発表、個別指南を受けるというイベントです。気づきを次につなげ、継続的な事業展開を意識させるために創設しました。(注:大起業市場の方法論は、特定非営利活動法人起業支援ネットの考案です)

本年は、16のチームが参加してくれました(愛知学院大学13チーム、中部大学3チーム)。→参加チームの事業概要「2014VCteam_profile.pdf」をダウンロード

Valuebymentors指南役は、事前情報による評価と1チーム20分のやり取りを踏まえ、価値を判断し志を金額に換算し投志します。投志券の裏には、応援メッセージを書いておきます。一般参加者については、指南役と参加チームの間で取り交わされた議論の内容を聞いて、志を金額に換算し投志します。やはり応援メッセージを記します。毎年、このメッセージがチームのその後の進化につながります。

表(写真)が投志の結果です。今年は、特に事業を組み立てる過程の試行錯誤に比重を置いた指南をお願いしました。分かりやすい事業プラン、きれいな商品ではなく、本気でどれだけ企業や団体と関わり、困難に直面してもそれを克服して現在に至っているのか。これを指南の中心においてもらいました。もちろん、新規性、独創性は大切です。より実現性に近づいたそれらであって欲しいのです。表からだけでは分かりませんが、確実にアイデアを超えようと努力し、企業と共に商品(製品・サービス)をしっかりと考えているチームに指南役の評価が集まっています。逆に、一般参加の学生(経営学部の1年生で、将来のバーチャルカンパニーの担い手候補)は、見た目の分かりやすさに影響された投志になっているようです。しかし、これも大切な要素。指南役からの高い評価と一般参加者からの評価に違いが大きい現実を直視しなければならないですね。きっと、各チームとも認識したはずです。

本年度のチームの事業計画、商品を見て、すこし未来への挑戦が弱いかな?と感じています。地域ブランド確立に貢献する食品開発なら仕組みまで、機能するビジネスモデルまでしっかり考える。商品開発だけでは、部分最適にとどまってしまう。また、事業計画でも、ビジネスモデルでも、商品(製品・サービス)個々でも、もっともっと挑戦してほしい。これは支援者である私たち教員の支援の範囲と広がり方にも責任はあろう。見つめなおして生きたい。

さて、各種新聞で大学生による商品開発、起業に向けた特集記事が組まれる頻度が高まってきました。特にこの1年の取り上げられ方は、大学への期待の変化を物語っているのでしょう。本学は、愛知県の起業家風土の形成と起業家能力をもった学生群の創出を目指し、1大学を超えて連携する意図で6年間続けてまいりました。まだまだ呼びかけ方が弱く、課題が多いのも事実ですが、大学数を増やし地域ぐるみでの支援システム形成に向け努力してまいります。

その一方、愛知学院大学経営学部としては、私案ではありますが、キャンパス・インキュベーション確立に向け、新しい組織づくりを計画したいと思います。数年来の願いですが、起業家の協力を得られるまでになってきました。大学人ができることは一部です。教えていただきながら、私も成長していきたい。こんな気持ちです。本年を締めくくる投稿になると思います。良いお年を。

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July 23, 2014

2014年度 最も共感する言葉大賞

 愛知中小企業家同友会より7名の経営者の方にお越しいただき、本年度も経営者としての視座を学ばせていただきました。この場を借りて、学生22名ともども衷心より御礼申し上げます。
 この授業はある意味変則です。一人の経営者の方に2週続けてお越しいただき、1週目はミニ講義(経営者の方々が大切にしていることを中心)、2週目は対話型ワークショップ(1週目のミニ講義の感想を全員が書き、質問とともに経営者の方に事前に送ってあります)。加えて、担当教員とボランティア教員(意欲的に学びたい先生)で運営を支えます。また、愛知学院大学経営学部の起業家育成コースの導入科目でもあり、起業家として事業プランや戦略立案以前に、人としていかにあるべきか、未来に向かうための人生理念と企業理念の意義等を学生が直接経営者との対話を通じ気づいていくことを狙いとしています。

 さて、本年度も講義が終了し、「最も共感する言葉大賞」を選出しました。まず、22名の学生が、心に響いた言葉やフレーズを一人3個抽出してもちよります。次に4つのグループに分かれ協議を重ね、グループ毎に3つの皆に推奨したい言葉等を提案します。それをまとめたのが、以下の言葉です。66個分の12個です。それぞれ、学生が推薦する理由を述べ合った結果として、絞り込まれた12の言葉です。優劣をつけることは適しませんし、ここに無い54個の言葉も学生個々にとっては、大きな意味を持ったものです。このような前提を置きつつ、本年の最も共感する言葉大賞を発表します。

 努力すれば必ず成功するとは限らない。ただし、成功している人は必ず努力している。

 理念なき経営は罪悪であり、利益なき理念は寝言である。

 不安をしすぎるのは取り越し苦労。

 好きなことを仕事にしなさい。

 強い思い(想い)は人生を変える。

 経営者以上の夢を社員は描けない。

 失敗をしてもいい。しかし、同じ失敗を繰り返してはいけない。

 自分が変われば未来が変わる。

 失敗を失敗と取るか、気づきと取るか。

 役を頼まれた時は試された時。

 親友は一人、仲間はたくさん。

 やれないは言いたくないが、やらないは言いたい。

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March 28, 2014

滋賀県産業支援プラザで報告させていただきました

2014年3月27日、「『事業を構想する』とは?」と題し、滋賀県産業支援プラザのビジネスインキュベーション・マネージャーの皆様に、事業計画の前段階にある事業構想を具体的なイメージとしてつくり上げていくための論点を報告させていただきました。起業支援の段階で考えれば、事業構想は、プレ・インキュベーション段階での起業希望者が明確にしなければならない必須のもの。別の表現でいえば、ビジネスプランを書く前に具体化しなければならないこと。あくまでもバーチャルカンパニー等大学で行うアントレプレナーシップ教育で手ごたえを感じた経験則をまとめたものですが、起業支援に携わる皆様に参考になればと思い、導入部分のスライドをアップします。ご笑覧ください。→「20130327.pdf」をダウンロード

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February 04, 2014

2013年度 最も共感する言葉 大賞

毎年、愛知中小企業家同友会の経営者の方に講義をお願いしています。本年は、7名の経営者にお越しいただきました。この講義の特徴は、同じ経営者が2回連続で「人としての経営者に焦点」を絞っている点です。狙いは、生き方を模索している学生たちが、「経営者になるまでのキャリア、経営者としての姿勢」を学び、自らの足で歩み始めるきっかけをつかむことです。

昨年に引き続き、「最も共感する言葉」を尋ねてみました。受講生40名に任意で提出を求めたところ、23名より計73件の提案があった。一人が最低3つ(絞り切れない人は4つ以上も可)優先順位を付けて投票する形式をとった。人により重きの置き所が違い集約することは難しいため、23名の受講生の第1位を列挙してみた(注:重複があるため23にはならない。また、紹介順は、提出順)。

「象と蟻の戦いだけど負けるつもりはない。負ける戦いはしない。」 IT社長

「やる気のある人を会社に必要な人材にするのが社長の役目」 E社長

「今の若者は守りに入っている。もっともっと挑戦してほしい。」 M社長

「親から五体満足と普通の頭をいただいておいて、何を文句言っているんだ。やれるだけやってみよう。」 K社長

「日本で一番高い山は富士山だと誰もがすぐに頭に浮かぶが、二番目に高い山をすぐに答えられる人は少ない」 IB社長

「他社と差別化を図る」 IT社長

「夢を夢で終わらせない」 U社長

「またやり直せばいい」 IT社長

「会社のことよりもお腹の赤ちゃんを大切にね」「社員には生活があり、家族がいる。それを守れるのは自分しかいない!」 K社長

「人生の転機なんてなくても日々の積み重ねで自然と良くなる」 IB社長

「自分は社員を考える、社員は客を精一杯考えよう」 IM社長

「教育」ではなく「共育」をする K社長

「しっかりとした将来の目的を持つことと将来の夢を持って、計画をたてて、今に流されず、志を高く持っていること」 U社長

「失敗帳を作る。」 IT社長

「全てができなくてもいい。それをしようとする姿勢が大切」 K社長

「自利とは利他をいう」 U社長

「好きなことのためにやらなければいけないことはどんな嫌なことでもやってきた。」 U社長

「一人でも自分を頼りにしてくれるお客さんがいればどれだけ辛くてもやる」 K社長

「お金儲けより信頼される会社作り」 IB社長

その他は、別紙を参照されたし。→「2013_kyoukan.pdf」をダウンロード

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November 05, 2013

2013年バーチャルカンパニーの事業紹介

◆本年は5社のバーチャルカンパニーが誕生しました。進捗度合いは各社各様ですが、現状に満足せず進化し続けています。

◆さて、11月24日(日)には、「バーチャルカンパニー・トレードフェア」が京都大学にて開催されます。本年は30社ほどの出展が見込まれています。また、トレードフェアを振り返り、改善する機会として、愛知学院大学経営学部では毎年およそ1月後に「バーチャルカンパニー大起業市場」を開催しています。12月21日(土)に開催します。この大起業市場には、他の実践的授業の事業計画も含め9件の事業計画が披露されます。

◆大起業市場では、経営者、バーチャルカンパニーを経験したOBによる指南が徹底的になされます。学生たちは、ノンストップで9名の指南役に説明し、質問され、答える時間を過ごします。毎年、終わった後の達成感あふれる顔に救われます。今年は、一般参観者として、将来起業希望の1年生40名が加わります。かれらの今後の成長も追い続けてみたいと考えています。また、他大学の先生方、学生の皆さんにも是非ご参加いただければと考えています。是非お声掛けください。

◆以下は、愛知学院大学バーチャルカンパニー5社のホームページと事業紹介PV映像です。未だ改善の余地ありですが、ご笑覧ください。


UP
①PV映像→ http://www.youtube.com/watch?v=64ELqypgqZA&feature=youtu.be
②ホームページURL→ http://up.agu.ac.jp/

K&O
①PV映像→ http://www.youtube.com/watch?v=ph0JvzUEqFo&feature=youtu.be
②ホームページURL→ http://kando.agu.ac.jp/

novice
①PV映像→ http://www.youtube.com/watch?v=K2fzP7-gLdk&feature=youtu.be
②ホームページURL→ http://novice.agu.ac.jp/

ひのもと
①PV映像→ http://www.youtube.com/watch?v=h3YYOQc9eB4&feature=youtu.be
②ホームページURL→ http://risingsun.agu.ac.jp/

るーぷ。
①PV映像→ http://www.youtube.com/watch?v=5zRodJBy9lc&feature=youtu.be
②ホームページURL→ http://loop.agu.ac.jp/

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June 27, 2013

『起業家としての素養』

Img2013062700028中央経済社刊『旬刊経理情報』2013.07.01号(No.1351)の巻頭言に『起業家としての素養』と題する小稿を掲載していただきました。

以下は、参考文献を記した同種内容の論考です。ご笑覧ください。


***********************
『起業家としての素養』 愛知学院大学 経営学部教授 鵜飼宏成

 社会の変革をもたらすイノベーションの担い手として「起業家」が注目されて久しい。多くの人は、現在の延長線上に発展への解がないと考えるからこそ、今までと異なる状態を切望しイノベーションを欲する。そもそもイノベーションは技術進歩ではなく、「価値次元の転換」を伴った創造的破壊をその本質とする。技術進歩が「できるか・できないか」であるのに対し、イノベーションは「思いつくか・思いつかないか」の世界である。だからこそ、「起業家」というヒトに注目が集まるのだ。

                          ◆

 アップルの創業者でiPodやiPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズが起業家であることを疑う者はいないだろう。では、ジョブズのようなグループの人々は、起業家として生まれるのか、それとも、起業家になるのか?

 私はヒトの能力について、「多元的知能論」を支持している。複数の知能が人類の遺産の一部として備わっている一方で、知能の程度や組み合わせは一人ひとり異なっている。遺伝的な要因によって、知能の発現や改善の程度に何らかの上限が設定されているが、現実には、生物学的限界に到達することはまずない。そして、ある知能における素材に十分浸ることによって、ほぼすべてのヒトがその領域において非常に優秀な結果を残すことができ、そうでなければその知能は発達しない。

 起業家に求められる「創造的能力」についていえば、「伸ばすことができる能力」であるとする先行研究は多く存在し、どうやらイノベーションに必要な能力の約3分の2が学びを通じて習得できる。たとえば、15歳から22歳までの117組の双生児を調べたマートン・レズニコフ達は、10種類の創造性テストで一卵性双生児が出した結果を分析し、遺伝で説明できるのは僅か30%であることを明らかにした。
 
 つまり、周りの環境が、そのヒトの知的潜在能力を発現する程度を決定するのに大きな役割を果たし、起業家は起業家として生まれるのではなく、起業家になる。

                          ◆

 では「起業家としての素養」とは何か?イノベーティブなアイデアを生み出すための「イノベータDNA」モデルという考え方がある。これは、約500名のイノベータ(起業家と考えてよい)と約5000名の経営幹部の比較研究を行ったクレイトン・クリステンセン達が、両者をはっきり区別する「発見力」スキルをもとに生み出したモデルだ。このモデルに従えば、起業家としての素養は3領域からなる。第一は斬新なインプットを組み合わせる認知的スキル「関連づけ思考」、第二は行動的スキルの「質問力」「観察力」「ネットワーク力」「実験力」の4つで、関連づけ思考の呼び水になる。そして、第三は行動的スキルの呼び水、「現状を変える意志」と「自らの責任で果敢にリスクテイクする姿勢」である。

                          ◆

 クリステンセン達の研究はもう一つ重要な発見をしている。「イノベーティブな起業家(兼CEO)は、イノベーションを生み出した実績のないCEOに比べ、発見にかかわる行動(質問、観察、実験、ネットワーキング)に1.5倍もの時間を費やしていた」という。私はこの事実から、行動を促す「志」が「起業家になる」鍵と診る。読者の皆さんはどのようにお考えになるだろうか?


(参考文献)
ハワード・カーズナー著、黒上晴夫監訳『多元的知能の世界―MI 理論の活用と可能性』日本文教出版、2003 年
クレイトン・クリステンセン、ジェフリー・ダイアー、ハル・グレガーゼン共著、櫻井祐子訳『イノベーションのDNA』翔泳社、2012年
楠木建著「クリステンセンが再発見したイノベーションの本質」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2013年6月号


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March 17, 2013

インストラクショナル・デザイン(ID)の基礎理論を学び、私のアントレプレナーシップ教育を振り返る

2013年3月12日(火)、人材育成コンサルタントの田口光彦氏より、「インストラクショナル・デザイン~教育効果を最大化するための『教育を論理的に設計する技術』」と題する講演を拝聴する機会を得た。大変気づきの多い時間を提供いただいた、田口氏に衷心より御礼申し上げたい。

インストラクショナル・デザイン(以下、ID)とは、「教育・研修の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそれらを応用して学習支援環境を実現するプロセスのこと」を指す。
~引用:鈴木克明著「インストラクショナルデザインの基礎とは何か:科学的な教え方へのお誘い」『消防研修(特集:教育・研修技法)』第84号(2008年9月)~

今回の講演では、まず、経験学習を実効性のあるものとするためにも効果測定は必須であることが主張され、次に教育効果を測定するツールとして「カークパトリック・モデル」が紹介された。カークパトリック・モデルは、教育研修の効果を測定する米国のスタンダードのモデル。ご存知の方も多いと思うが、次のような特徴がある。
レベル1 Reaction(意欲)~「考え方」~参加者が必要性や意義を理解し、意欲の促進がなされたか
レベル2 Learning(学習成果)~「やること×やり方」~参加者は目的の能力を身につけたか
レベル3 Behavior(行動変容)~「行動」~参加者は実際に職場で活用しているか
レベル4 Results(活動成果)~「成果」~参加者は学習内容を活用してビジネス成果を向上させたか

私が愛知学院大学経営学部で実践しているアントレプレナーシップ教育を、カークパトリック・モデルに照らし合わせて内省取材(自己分析)してみた。粗々の結果であるが、次のように考えられた。

バーチャルカンパニー・プログラム(愛知学院大学経営学部で導入しているアントレプレナーシップ学習)は、学生が社会的な問題として認識したことを社会的ニーズと捉え、それを克服する製品・サービスを生み出すため、シーズ等をもつ企業と連携し商品開発あるいは事業開発を実践することを目的としている。

プログラムの狙いと1年間の到達目標を理解した学生が受講していることを前提にしている(履修要綱での書面、ガイダンスや前年講義での口頭での説明という方法をとって・・・)。

厳密ではないが、前提科目の履修を推奨しており、過半の学生たちは当方の指導に従っているのが毎年の傾向である。また、単位にならなくても2年あるいは3年続けて履修する学生もわずかであるがおり、彼らは後輩に経験を伝えたり、相談に乗ったりする役割を果たす。

さて、このプログラムの課題は、学習の効果測定である。カークパトリックモデルに照らし合わせて、内省取材(自己分析)してみる。

レベル1~レベル4の段階で、効果測定が行われているのは、レベル4のみ。活動成果を、ビジネスプランコンテストの審査員、開発した商品を出品するトレードフェアの審査員等、第三者により評価を受ける。客観的な評価ではないが、実務家による評価をえることで、効果測定としている。

講義が事前登録制をとり、応募者多数の場合は抽選となる。このため、レベル1は学生自らが織り込み済み、納得済みとの理解でいる。(はたして、この認識が適切かどうか、改めて検討を要する・・・)

レベル2に該当する内容は、バーチャルカンパニー・プログラムの受講の前提条件となる科目の履修で習得しているという前提に立っている。もしくは、同時並行的に学習する。よって、企画立案、事業計画、経営者マインド等の理解については、科目評価で習熟度を測定している。

レベル3の行動変容の効果測定は、実施されていない。効果測定の方法という一点をとっても明確にしてこなかった。これが克服課題でもある。

改めて、バーチャルカンパニー・プログラムを考えると、支援者として受講生に期待するのは2つ。第1は、社会に通用する商品及び事業の開発。第2は、アントレプレナーシップの涵養。

結局のところ、レベル3行動変容の効果測定が実現できていないのは、アントレプレナーシップをブラックボックスと考えすぎ、「シップ」の中身を言語化とイメージ化できていないことに原因がある。

対策は、現在色々と検討を重ねている。この4月からの1年間の実践を通じ、検証していきたい。

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March 12, 2013

ベンチャービジネス提唱者の「企業家研究」に関する論考

Img2013031200292 ベンチャービジネス論(ベンチャー企業論)は、中村秀一郎先生、平尾光司先生、清成忠男先生の共同研究を通じた議論から問題提起された。この提唱者の一人、清成先生は、私の恩師でもある。

 清成先生が『学びの軌跡』を2011年3月8日に発表されている(非売品)。その中に、「私と企業家研究」という章がある。そして、章末に、『日本生産性新聞』(2007年7月25日掲載)に投稿した論考が、補論として紹介されている。以下では、補論の中から、企業家研究の問題意識を箇条書きで紹介したい。

◆私(清成忠男先生)の企業家研究については、J・A・シュンペーターに負うところが大きい。企業家が担い手となるイノベーションについては、J・A・シュンペーター1939年に発表した『景気循環論』(訳書、吉田昇三監修、金融経済研究所訳、1958年、有斐閣)が示唆に富む。

◆(J・A・シュンペーターは)「イノベーションとは新結合を遂行することである」のであり、「イノベーションを遂行する個人をわれわれは企業家とよぶ」と述べている。

◆(J・A・シュンペーターは)「新企業を創設する新人」が典型的な企業家であり、イノベーションの担い手は新人であり新企業であるという仮説を展開している。

◆J・A・シュンペーターは大企業、とりわけ巨大企業がイノベーターたりうることを否定していない。(J・A・シュンペーターは)「巨大企業は往々、その中で絶えず入れ替わる人がイノベーションからイノベーションへと移る外殻にすぎない」という。

◆(清成忠男先生は)イノベーションの担い手は、あくまでも個人としての企業家である。

◆シュンペーターのイノベーションの概念は、技術革新にとどまらず、経営機能のすべてにわたって革新的な変革があればイノベーション。現代的に言えば、ビジネスモデルの革新と考えてよい。

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November 22, 2012

中部経済新聞(11月21日掲載)に投稿しました

Chubukeizai20121121「中部経済新聞」に投稿したコラムが、2012年11月21日付同紙オピニオン欄に掲載されました。紙面の関係でデータの掲示ができなかったことが残念ですが、主張ポイントは伝えることができていると思っています。

以下は、投稿した内容です。ご笑読ください。

領 域:中小企業
テーマ:社会的にアントレプレナーシップ教育の環境を整備しよう
(副題)鍵は2つの連携「小中高大連携」と「産学連携」

愛知学院大学 経営学部教授 鵜飼宏成

 各国の起業活動を1999年からフォローする「グローバル・アントレプレナーシップ・モニター」(GEM:Global Entrepreneurship Monitor)調査がある。国の経済発展が起業活動と密接な関係があるという仮説に基づき実施されるこの調査で、日本の起業活動の水準は先進国の中では最も低いグループにあり続けている。

 国際的にみて日本の起業活動が低水準にある事実は、日本という社会の行く末を悲観的に映す。なぜなら、「企業交替=社会的対流現象」が活発なほど、新しい技術・ノウハウ等を持って問題を解決する若い企業が増え、ダイナミックな経済発展の下支えとなると考えられているからだ。日本は企業の少産少死が特徴というが、雇用保蔵(必要以上の人員を企業が抱えている状態)が急速に増加している現状で、社会を刷新する役割を担い、雇用を創出する起業活動を今まで以上に深く考える時期にある。

2011年GEM調査より
成人(18-64歳)人口100人に対して、実際に起業準備中の人と起業後3年半未満の人の合計が何人であるかを示す「総合起業活動指数」で日本は5.2、米国の12.3、韓国の7.8と比べ低水準にある。また、「起業をキャリアの一つ」として考える指数では、日本26、米国65、韓国61と倍以上の違いがある(注:米国のみ2010年の値)。「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を持っているか」に関する指数でみても、日本14、米国56、韓国27と不足を指摘する者が非常に多い。

 かかる状況下、私は、起業活動を促す重要な鍵が幼少期からの学習にあり、リスクを引き受け、変革を起こす人の基礎を築く「アントレプレナーシップ教育」(以下、アントレ教育)は教育機関への社会的要請であると確信している。しかし、アントレ教育は、「教育のカリキュラム」(教育する側により定義された教えるべき内容と教授法)以上に、「学習のカリキュラム」(学習する側の立場から見た学習環境のデザイン)が重要になるため、教育現場に大きな課題を突き付ける。

 起業支援のプロである星野敏氏(日本ビジネス・インキュベーション協会会長)は、支援現場での豊富な経験に基づき日本型のアントレプレナーモデルを提唱している。このモデルは、成功した起業家と失敗に終わった起業家の比較分析から生まれたものであり、成否の鍵は、起業前の人格形成期と醸成期に事業性人格や事業感覚を体得していたかどうかにある。そして、テキストや資料を通じて知識を伝達される経営知識等は、これらの能力獲得があって初めて活かされることも示している。教育機関におけるアントレ教育のポイントもここにある。

 愛知学院大学経営学部では、事業性人格と事業感覚の獲得を重視したアントレ教育プログラムを開発し起業家予備軍を育成して10年になる。中心的なプログラムが、学生によるバーチャルカンパニー(仮想企業)設立であり、社会問題を解決する新たな商品やビジネスモデルを企画し、協力企業とともに実現する。

 未だに試行錯誤が続いているのだが、教育支援者の立場から2つの克服課題が見えてきた。まず、事業性人格、事業感覚を獲得する学びを小学校の段階から継続的に実施する必要性である。これには校種間連携でアントレ教育をデザインすることが欠かせない。次に、成長に応じて簡単なものから複雑なものまで、リスクを引き受ける起業疑似体験の場を企業・団体等とともに用意することである。

 これからは、私たちが蓄積してきたノウハウをオープンにし、2種類の連携でアントレ教育を公共財としていきたいと考えている。協働に関心のある方々のお問い合わせを祈念している。

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